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組織犯罪を認めない原子力

原発設計「想定悪かった」原子力安全委員長
 政府の原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は22日の参院予算委員会で、東日本巨大地震による東京電力福島第一原子力発電所の事故に関し、「(原発設計の)想定が悪かった。想定について世界的に見直しがなされなければならない。原子力を推進してきた者の一人として、個人的には謝罪する気持ちはある」と述べ、陳謝した。
 社民党の福島瑞穂氏の質問に答えた。
 班目氏は2007年2月の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)運転差し止め訴訟の静岡地裁での証人尋問で、非常用発電機や制御棒など重要機器が複数同時に機能喪失することまで想定していない理由を問われ、「割り切った考え。すべてを考慮すると設計ができなくなる」と述べていた。福島氏はこの証言を取り上げ、「割り切った結果が今回の事故につながった」として謝罪を求めた。
 班目氏は「割り切り方が正しくなかったということも十分反省している。原子力安全委員会は原子力安全、規制行政に意見を言う所だが、抜本的な見直しがなされなければならないと感じている」と語った。
 これに関連し、菅首相は22日、首相官邸に班目氏や経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長ら関係機関のトップを呼び、連携を密にするよう指示した。
 班目氏は首相と会談後、記者団に「(首相から)もっと連携を良くしろ、と怒られた」と語った。首相周辺は「事故対応の役割分担についてすり合わせをした」としている。(以上(2011年3月22日20時26分読売新聞)より引用)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110322-OYT1T00865.htm

 福島瑞穂のその場限りの遠吠えはどうでも良いが、原子力安全委員長でありながら、日本の原子力行政全体の犯罪行為を斑目は、個人的な謝罪で済ませた。その方が、問題である。
 日本のいい加減な原子力行政によって引き起こされたと言っても過言ではない、今回の福島第一原発事故は、既に、日本国内だけの問題ではなく、世界の原子力行政に大きな影響を与えている。斑目は、「割り切った考え」という方便を使ったが、想定を越えた大地震・津波という逃げ方は卑怯だ。地球上では、M9以上の地震は今回以外でも起こっているし、三陸沿岸では30メートルを超える津波も起こっている。それを無視して、原発の安全基準を作った原子力行政に問題がある。想定を越えたと言うが、地球上で起こった最大の地震のM9.5を越えたと言うのであれば、想定外とも言えるだろうが、今回の地震の規模は、ここ100年でも数回起こっている地震だ。要するに、人智を越えた災害ではなく、役人の知能を越えた災害であり、今回の原発事故は、役所発の人災だ。世界最大の震災を想定した原発設計をすれば、原発建設コストが上がるという算盤勘定が、お役所と電力会社で一致したのだろうが、今回の福島第一原発事故に対する補償を考えれば、住民を危険にさらすこともなく、日本の安全を守るためのコストと考えれば、安く済むのではないだろうか。また、40年の耐用年数の過ぎた原子炉を誤魔化しながら稼働させ続けているのも、今、廃炉にして廃炉費用を電気料金に転嫁すると、低コスト・地球温暖化対策としての原発増設が成り立たなくなるからだろう。それよりも、原発が無くなれば、原子力行政に寄生している役人の仕事がなくなる方が、心配だったのかも知れない。
 また、地震の想定もほとんどが、原子炉格納容器に対するもので、緊急事態に必要なバックアップ体制は、海に面したところへ作るという、原発システム全体を客観的に見ることのできなかった、役所の管理体制と電力会社のコスト低減によるものだ。原発設計者からすれば、原子炉の設計をする者が一番偉くて、その他の仕事は、どうでも良い低レベルと考えていたのではないだろうか。
 福島第一原発だけではない。今すぐやらなければならないことは、稼働中の原発に対して、M9.5の地震と30メートルの津波に遭っても、安全が保てる様にしなければならないことだ。例えば、中国電力島根原発のように、事業主体である中国電力が、想定する地震の活断層の長さ調査して決めている点だ。他の調査によれば、中国電力が想定しているよりも活断層が長いという調査結果も出ているが、中国電力は、問題が起こるまでは、問題ないと言い張るつもりだろう。そして、問題が起これば、想定外とでも発表して、天災に責任転嫁をするつもりだろう。
 更に、日本の原子力行政と電力会社は、不都合な情報は出さないという体質を今になっても堅持している。それが、世界から不審に思われている原因だとも、まだ、気付かないのだろうか。(No.2880)

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